いっそ怒ってるなら怒ってるという意思表示をはっきりとしてくれたほうが楽。

 こういう“なに考えてるかよくわからない”ときに「怒ってるのか?」なんて聞いてみた所で、

「別に」

 なんていわれるに決まってる。

 信号が青から赤に変わる前に黄色になるのが決まってるくらい決まってるし、プリンに醤油をかけても“うに”になるはずがないのと同じくらいに決まってる。

 あぁそりゃぁもぅ間違いなく。

 こんなときに男ができることなんてなにもない。

 これがもし。

 明確な“喧嘩”であれば頭をひとつ下げれば問題は進展をみせる。

 それが良いか悪いかは別として、ね。

 だがしかし。

 今回に関してはそもそも喧嘩をしてるわけじゃぁないし、そもそもなんでこんなことになってるのかその理由が俺にはさっぱりわからない。

 考えもなしに真っ暗闇に頭からダイブするようなことは俺にはできない。

 あまりにもそいつは無謀すぎる。

 だってそうだろう?

 俺の目的は告白をすることであって事態をややこしくすることじゃぁない。

 やぶをつついて蛇が出てきたんじゃぁたまらないだろう。

 そのためには今がどういう状況なのかを正確に把握しなくっちゃ。

 美味い珈琲を淹れるにはどうすれば美味い珈琲になるのかをしっかり事前に調べる必要があるのと同じだ。