自宅に着く頃には雨は叩きつけるような勢いで、服に穴が開いてやしないかと不安になったがどうやら無事のようで。

 と、

「お~……」

 玄関に着いたとたんに止みやがった。



 嫌がらせですか?



 なんて愚痴をさい銭おまけに空にぶちまけてやりたいところだったが──なにせ寒い。

 このままじゃ本当に風邪をぶりかえしちまいそうだ。

「あ~そういえば……」

 冷蔵庫にラッピングした“土鍋”を無理矢理突っ込んでたんだったな。

 さすがに弱った胃袋に再びアイツを招き入れるのは勘弁。

 着る前の何十倍にも重くなった服を、へばりつくわ重いわでどうにかこうにか脱いでそのまま洗濯機に放り込む。

 後で玄関から床を拭いておかなきゃぁな。

 ナメクジでも通ったような後がついてやがる。

「あ~さみぃさみぃ」

 俺は2、3度身震いをしながら風呂場に入ると蛇口のコックをひねって少し熱めにしてシャワーの湯を出した。