それをなんとかするのがいい男ってことなんだろうが、あいにくと俺はそんな高尚な脳みそを持ち合わせてやしない。

「あ……やばい。ものすっごいマイナスオーラ出してんな、俺」

 これがマイナスイオンなら電器屋の店頭なんかでおすすめ商品として陳列されるところなんだろうけどな。

 俺はこの我ながらうっとおしい自分を振り払うようにして頭を軽く振った。

 揺れた脳みそに少し酔いながらまた暗闇に埋もれた川面に視線を投げる。

 控えめなせせらぎ。

 すそから入り込む湿り気のある風。

 どこか遠くで鳴り響く電車の音。



 ぐぅぅぅぅぅぅぅきゅるるるるる



 気分におかまいなしの腹の虫。

「今日は、コンビニで晩飯買うか……」

 帰ったところでなにか作るような気力は、ない。

 どれだけぐるぐると考えても解決しようがない気がして滅入ってきた俺は立ち上がると、今度は愛車にまたがり少しでも気を晴らすようにペダルに力を込め──