非常に奇妙な空間がそこにあった。

 昼時の店内は活気に満ち溢れていて、闇雲に連鎖反応が起きているかのようにせわしなく注文が飛び交う。

 一秒の静止もままならないほどの忙しさは、思考回路を一時的にシンプルなものに切り替えてしまうらしい。

 余計なことはいっさい、頭の中から腹の底の右隅だか左隅だかに追いやられて、俺たちはとにかく目の前の次々と入れ替わるオーダー表に忠実に仕事をこなしていった。