幸せの天秤

「聞いてる?」

何も反応のしないあたしに、もう一度、彼が聞いてくる。


「今のデザインが完成したら。青山さんは終わったんですか」


当たり障りのない言葉で返す。


「あおでいい。レンリはいつでもあおだったじゃん」


あおは何を言っているんだろう。

そんなこと言われたら、勘違いしてしまう。


昔に戻ったんじゃにかって、、、。



「レンリがこの会社に入社して来た時は驚いた」


「あたしも」


きっとあたしの方が驚いた。


だって、偶然にしてもアメリカから帰ってきて、
すぐにあおに会うなんて思いもしなかったから。



ふと彼の手に目が行く。

左手の薬指にある指輪に、胸が締め付けられる。



そうだよね、、、、。

あおはもう30歳。


結婚してても可笑しいことなんて、、、ないんだもん。



クルシイ、、、。



胸が張り裂けそう。



「レンリ、無理すんなよ。お前、頑張りところあるから」

「、、、、ありがと」



あたしはちゃんとあおに普通接しられてるだろうか。