やだっ。
心臓の音が、聞こえちゃう!
「だめっ!」
私はすぐに、緒方くんの肩を押して離した。
ドキドキ騒ぐ胸を落ち着かせる。
「……なんでだめなんだよ?」
なんでって……。
緒方くんも、雅先輩が好きなはずなのに、なんでこんなことするの?
私は、いっぱいいっぱいだよ。
「あぁっ!門限の時間だ!早く帰らなくちゃ!」
腕時計を付けてないのに、腕を見るふりをして、私はクルッと振り返った。
もちろん、門限なんてない。
「はっ!?待てよ!ハム子!」
緒方くんが、呼び止める。
でも、ごめんなさい。
私はこの心臓が持ちそうにないので、帰ります!!
「送ってくれてありがとう!
また、明日!!」
私はまた、緒方くんから逃げるように帰って行った。