「緒方くん……?」
顔が熱くなるのが、自分でも分かった。
「俺は、すぐにケンカしちまったり、ちっせー人間だから、お前が羨ましいよ」
ふっと、自分をけなすように笑う緒方くんが不思議で仕方ない。
たくさん友達もいて。
背も高くて。
名前もかっこよくて、強いのに。
そんな人が、なんで私なんかを羨ましいなんて言うんだろう?
「ケンカ…。
そう言えば、なんで入学式の日、先輩とケンカしたの?」
すぐにケンカするしって言ってるけど、
ケンカしたのには、なにか理由があったからだよね?
緒方くんは、心が小さいからケンカするような人には、見えない。


