「ちょっと待って。今、人多いから、ハム子つぶされる」
そう言った緒方くんは、私を壁まで引いてきて、ドンッと手をついた。
向かい合わせで、私の両側は緒方くんのたくましい手に塞がれる。
近すぎる距離に、私の顔はドンドン熱くなってきた。
えっ。
……なにこの状況!?
なんでこんなことに、なってるの!?
「あんまり他のやつに、触られんなよ?」
囁くような甘い声に、耳元がくすぐられた。
心臓がバクバクと騒ぐ。
「つか、何買いにきたの?牛乳だけ?」
緒方くんの言葉にハッとした。
そうだ、クリームパンを買いに来たんだった!!
「あのね!クリー……」
「リクー!!!」
……?
言葉、さえぎられた?
私の言った言葉とは、反対の言葉が聞こえてきたような……?


