「はいよ。これでいい?」 「ふぇっ!?」 緒方くんは、私の背後から腕を伸ばして牛乳のボタンを指さす。 すぐ後ろに感じる緒方くんに、心臓がバクバクとしてきた。 「ん?これでいんだろ?」 「…あっ!…はい!!」 「また敬語だし」 そう文句を言いながら、ピッとボタンを押して牛乳を買ってくれた。 「あ……ありがと」 私は急いでその牛乳を取ると、緒方くんから離れようとする。 でも……。 ───ガシッ。 さっき離されたはずの手が、また私の腕を掴まれてしまい、それができなかった。