そんな思いを胸に、私は頬杖をついて前を見た。 でも…… そんな願いは儚く消える。 ───ガラッ。 教室の後ろのドアが開いた。 「うぃーっす」 そんな声が聞こえるとともに、みんながザワザワと騒ぎだす。 女の子達は、頬を赤らめてそちらを見ていた。 「おっ!やっと来たな!!緒方!!」 緒方。 そう呼ばれた名前に、私は思わず反応してしまった。 黒髪で、凛としてる、大人っぽい男の子。 そんな人が今、この教室に入ってきたんだって。 そう思っていた私は、 嬉しくなって期待に満ちて振り返ったんだ。