「それがなに?」
「……無理しないでよ。
どうせ、あのふたりの背中押したの、翼でしょ?」
……は?
「なに言ってんの?意味分かんねぇ」
「しらばっくれたって無駄。あたしは分かるんだから!
本当はまだキミ子ちゃんのこと好きなクセに、簡単に陸に譲っちゃって。
翼は昔からそう。陸に甘いよね」
雅の言葉にイラっとした。
だって、図星だったから。
「わざわざ俺に、そんなこと言う為だけに学校まで来たのかよ。ずいぶん暇人だな」
ムカついて、ムカついて。
めっちゃ最低なこと言ってるよな、俺。
「違うよ。あたしはまた、片想いから始めるために来た。
ちゃんと本当のあたしで、翼に本気でぶつかるために来たの」
だけど雅は俺の毒舌に負けず、真剣にそう言ってきた。
目が反らせないほど、まっすぐな瞳に、一瞬だけドキッとして、吸い込まれそうになる。


