「出てくんの、おっそ」
無の心で、普通に校門を通り過ぎたら、後ろからそんな声が聞こえてきた。
驚いて思わず振り返ると、そこには制服姿の雅がいた。
「……えっ。なんでいんの?」
「なによ。あたしがここに来ちゃ、ダメなの?」
「いや、そういうワケじゃないけど…」
雅と会うのは、すげぇ久しぶりだ。
「翼が出てくるの遅いから、ここの学校の男子に、めちゃくちゃ声かけられたじゃない」
なんだそれ。俺が悪いのかよ?
「なに?俺になんか用?」
早く帰りたいがために、俺は冷たく雅にそう聞いた。
「用っていうか、陸とキミ子ちゃん、元に戻ってたから……」
うつむきながら、いじけるようにそう言った雅。
なんだ。俺を慰めにでも来たのか。


