可愛いなぁ……なんて、思ったり。
「うんっ!」
「じゃあ、今日の帰りは俺んちな!」
えっ!?
「ちょ…!ちょっと待って…!」
「言っとくけど、お前に拒否権ねぇから」
さっきの可愛さなんて消えるほどの、強引さ。
有無を言わせないところが、緒方くんらしい。
「よし、早速帰るか!」
緒方くんは立ち上がり、私の手を取った。
「えっ!?ま…待って!まだ日誌が!」
「こんなもん、田中に任せておけばいいんだよ」
私の言い訳もむなしく、緒方くんは書きかけの日誌を田中くんに向かって投げた。
それをテンパりながらも、うまくキャッチする田中くん。
「じゃ、頼んだ!田中!」
「きゃっ!」
そう言って緒方くんは、私の手を優しく包み込むと、
二カッと笑って、教室からに連れ出した。