「おい」
後ろから、低い声が聞こえて振り返る。
「緒方くん…」
って、なんかすっごくムスッてしてるんだけど、なんで!?
「なに他の奴にキスされてんだよ……」
「えっ!?」
あっ。もしかして、さっきの翼くんのキスのこと?
「つーか、もう我慢できねぇ!」
「ひゃっ……!」
腕を引かれ、私の体はコロンも緒方くんの胸の中に転がり込む。
驚く間もないくらい、緒方くんは私を引き寄せギュッと抱きしめた。
「……まじ、ずっとこうしたかった」
「緒方くん……」
「あの時は、本当にごめん。守れなくて、ごめんな。お前を手放して…ごめん」
何度も謝る緒方くんに、胸が締め付けられる。
こんなに強く抱きしめられているのに、緒方くんの温もりを感じていられるのに、
不安になるのはきっと、今まで離れていた時間のせい。
だから、お願いです。
「だったら、もう二度と離さないで…」
「当たり前。もう離す気なんてねぇよ。イヤって言われても、絶対に離してやんねぇから」