「今まで、本当にありがとう。泣いてるとき、そばにいてくれて。翼くんの優しさに、たくさん助けてもらった……」
本当に……いっぱい、助けてもらっちゃったね。
私、翼くんに背中押してもらってなかったら、弱いままだった。
「……ありがとう」
泣き顔のまま、くしゃっと笑ってそう言ってみせた。
「やっと笑ったな…」
嬉しそうに笑った翼くんは、もう一度私の元まで歩み寄ってきて……。
──グイッ。
「えっ?」
腕を引っ張ったかと思うと、そのまま私の頬にキスをした。
「……!!!?」
「これでチャラにしてやるよ。
陸。キミ子を泣かせたら、すぐに取り返しに来るからな。覚悟しとけよ」
そして、ふっと笑うとまた歩き出して行ってしまった。
そんな翼くんの後ろ姿に、もう一度心の中で伝えてみた。
……本当にありがとう。翼くん。