「……悪いけど翼。俺だってあの頃とは、もう違うんだよ!!」
殴られた頬を拭った陸は、そう言って俺を睨み返す。
「……俺がケンカするなら、ハム子のためだ。
ハム子を傷つけるためじゃない。ハム子を守るために」
「……ふざけんな」
「ふざけてない。お前には渡さない!!」
雅とのことで、ケンカになったとき、こいつは俺に全く歯が立たなかった。
けど、あの頃とは違うこいつ。
決着をつけるとき。
……なぁキミ子。
お前は、お前が1番笑っていられところに行っていいんだ。
お前が行きたいところへ、行っていいんだよ。
もう、大丈夫。
お前が変えた、〝緒方陸〟は、お前のおかげで強くなったから。
俺は信じてみる。
こいつは絶対、お前を守り抜くって。
……お前を、笑顔にできるって。