──ガラッ。
ドアを開けたその人を見ると、心臓がドクンと音を立てる。
「……ハム子」
……なんで?
せっかく切り替えた気持ちなんて無駄になるくらい、一瞬で引き戻される。
体中が熱くなって、心臓がドキドキして……。
苦しくて、切ないけど……でも嬉しくって、泣きそうになる。
「緒方くん……」
大好きな、緒方くんのせいで。
「……今から、帰んのか?」
緒方くんは私を見つめて聞いてきた。
「……うん」
別れてからひとことも口を聞いてなかっただけに、こんな他愛ない話でも胸がいっぱいになる。
でも、だめだ。
ここにいたら、私はまた緒方くんを好きになってしまう。
「じゃあ……私、帰るね」
そう言って、この場から逃げるように私は席を立った。


