「……悪い」
俺は吉田の胸ぐらを離すと、その場に崩れ落ちた。
「……なに自分でしたことにへこんでるの?」
「……だって、考えなしにお前を殴って、傷つけた」
吉田の頬が、赤くなってる。
痛々しかった。
「いいよ別に。キミ子ちゃんに比べたら、こんなの痛くもない。
それに……」
吉田はそっと、崩れ落ちた俺の目の前に、手を差し伸べてきた。
「緒方が考えなしなのは、今に始まったことじゃないだろ」
ふっと笑いながら、俺の手を無理やり掴んで立たせる。
「なんかあるなら言えよ。かっこつけんな。ひとりで抱え込むな」
かっこつける……?
そんなじゃない。
「言えるわけねーだろ。
言えねーよ……っ。
情けなさすぎて……言えるかよ……」
いや……。
かっこつけてんのか?
情けない一面を隠してんのか?


