「それでいいの?」



「いいよ別に」



「あっそ。ヘタレ」



「はっ?」



今こいつ、俺のことヘタレっつったか?



「なにそんな驚いた顔してんの?本当のことだろ?
逃げてんのは緒方の方じゃん。
自分から別れ告げて、これでキミ子ちゃん守れるとか変な理由つけて……」



吉田がいつになく怒ったような顔をして、俺に向かって言ってくる。



その顔にイラっとして、俺は衝動的に吉田の胸ぐらに掴みかかった。



「うるせぇ!!お前になにが分かるんだよ!」



「分かんねーよ!!」



そして思わず、反射的に吉田の顔を殴っちまった。



「………あっ」



これだ。


この手だ。



俺のこの手が、大事な人間を傷つける。