「顔……あつ」
手の甲で右頬を隠す翼くん。
「うん、今日は暑いね」
私はごまかすように、そう言ったのに。
「いや、あんたが全部恥ずかしいこと言わすからだろ」
「えぇっ!!」
翼くんはごまかさず、素直に言ってきた。
……もう!
お互い顔が真っ赤だけど。
でもなんでか、同じでちょっと嬉しい。
翼くんの意外な一面を見ることができた。
「ふっ。アイス、食うか?」
目を細めて、優しく笑う翼くんはもう一度あのアイスクリーム屋さんを指差した。
……そうだね。
私ばっかり、緒方くんを引きずってちゃダメだ。
だから、前を向いて歩きだそう。
「うん!イチゴのアイス!」
「おっ。単純なやつ」
そして私は、翼くんとアイスクリーム屋さんに向かって歩き出した。