「暑いし、なんか食うか?」
そう言って翼くんは、あのアイスクリーム屋さんを見た。
私がこのお店を見て思い浮かべるのは、夏休みに緒方くんとアイスを食べた記憶。
お互いのアイスを交換しあったっけ。
間接キスに、私だけがドキドキして……。
「キミ子?」
翼くんの呼ぶ声にハッとする。
「あっ!えぇっ!?……私は、いいや!」
アイスを見ると、また緒方くんのことを考えてしまいそうになるから、やめておこう。
「そっか」
翼くんは切なそうな顔で私を見ると、またアイスクリーム屋さんを見つめた。
あっ!!しまった!
翼くんはアイス食べたかったよね!?
私はなんて失礼なことをっ!!


