「なぁ」
突然立ち止まった緒方くんは、私の方に振り返った。
そのおかげで、緒方くんの隣まで行くことができた。
「…どうしたの?」
やっと追いつけた緒方くんの顔を見上げると、相変わらずの仏頂面。
なんでだろう?
私といるのが、つまんないのかな…?
何言われるんだろう?と、不安になってると、
「なんで翼のこと、名前で呼んでんの?」
「えっ?」
予想外な言葉が返ってきて、びっくりする。
「それだけじゃない。あいつと楽しそうに笑って、タオルとか俺の知らねぇ話してるし……」
あいつって、翼くんのことだよね?
えっと…タオルのことは、どこから話せばいいのかな?
私が言葉を探していると、緒方くんはムスッとしたように口を開いた。
「いつの間にそんな仲良くなってんだよ…」
こっちを見ていたはずなのに、プイッとそっぽを向いてしまう。
もしかして……。


