どこが鈍感なのか、必死に考えてみたけど思い当たる節がない。
「じゃーな。キミ子」
その間に背中を向けて歩き出してしまった翼くん。
その背中を見て、なにか忘れてるような気がした。
………ん?
あっ!!
「待って翼くん!!」
私は翼くんを急いで呼び止める。
すっかり忘れてたけど、翼くんのハンカチ返してない!
「ん?」
翼くんはこちらを振り返って、不思議そうにしていた。
そんな翼くんのもとへ駆け寄ると、鞄からハンカチを取り出す。
「これ、返すね!ありがとう」
前会ったときにも返せなかったから、次に会えたときに返せるように、ずっと持っていたんだ。
「わざわざサンキューな」
少しさみしそうに、そのハンカチを受け取る翼くん。
元気がない…?
そう思ってると、翼くんは顔を上げて私を見つめた。
「ハム子って、放課後よくここ来んの?」
えっ。
なんでそんなこと聞くんだろう?
「うん。帰り道だし、ペットのエサとか買いに来るよ」
「じゃあ、ここに来ればまた会えるな」
独り言のように小さな声でそう言った翼くんは、嬉しそうに笑った。
「じゃ、またな」
それだけ言うと、今度こそ本当に前を向いて歩き出した。


