「なぁ、陸」
今度は翼くんが、緒方くんに話しかける。
「なんだよ。ふたりでコソコソして」
さっきよりも怒りオーラが炸裂してる緒方くん。
いつも以上に、眉間にしわがよってる顔は迫力があって怖い。
私でも怯んじゃうくらいなのに、翼くんは全く動じてない。
「俺のこと、許さなくていい」
「はっ?」
「えっ?」
翼くんの言葉に、緒方くんと私はへんてこな声が重なってしまった。
それでも翼くんは、真剣な表情で私を見つめてくる。
「許さなくていいから。そいつ、俺に譲ってよ」
…………そいつ?
そいつって、どいつ?
国のドイツ…とか?
って、そうじゃなくて!!
翼くんの視線の先が、ずっと私な気が……。


