「…んっ。おいしい!」
「だろ?……って、おい。口のとこにチョコ、ついてる」
緒方くんは私の口元を見ながら、ここについてるって、指でツンツンっと自分の口元をつついた。
「えっ?ここ?」
「ちがう。そこじゃなくて……。ここ」
緒方くんの親指が、あたしの唇の近くに触れた。
ドキンッと、胸が音を立てる。
「ほら」
自分の親指を見せて、私にチョコがついていたことを確認させて、
そのまま……。
その指をペロッと舐めた。
「……っ!!」
いや、坂下公子!!
なにをドキドキしているの!?
これはきっと、普通の出来事なんだよ!
欧米化してるこの日本社会では、日常茶飯事なんだって!!
アイスペロッ。なんて、ハロー、ハーワイユー?みたいな、あいさつも同然なんだよ!
そうだ。きっとそうに違いない!


