私は急いでカバンから財布を取り出そうとする。
だけど、それは緒方くんの手によって止めらた。
「いいよ。俺が払う」
「えっ!なんで!?だめだよ!」
「なんでって……。俺、お前の彼氏だろ」
ドキッ。
なにそれ。不意打ちです。
〝俺、お前の彼氏だろ〟って、反則だよ。
緒方くんが私の彼氏って……そうなんだけど。
言葉にされると、妙に意識してしまう。
「はい、どうぞ!」
緒方くんは店員さんからふたつのアイスクリームを受け取った。
「ん。こっち」
そして、そのままイチゴ味の方を私に手渡す。
「……ありがとう」
私は火照った頬を冷やすように、ちょっとだけアイスを頬に近づけてから、
パクッと一口食べてみた。


