「緒方くんがケンカして停学になったとき、みんなに怖がられて、誤解されるって思ってたけど…。
緒方くんは、球技大会で女の子にかっこいいって騒がれてたし……チームの輪に入って仲良くって…。
私なんかいなくても、自分でどうにかしちゃう」
そう、雅先輩だけじゃない。
他の女の子も、緒方くんを見てたし…。
どうにかしてみんなの誤解を解かなきゃって思ってたけど、私がなにもしなくても、緒方くんはみんなと仲良くなってて……。
「私なんかが緒方くんと一緒にいても、意味ないんじゃないかなって、思えてきちゃうよ…」
緒方くんと一緒にいると、ドキドキしたり、楽しかったり、幸せな気持ちになれる。
でもその分、たまに不安になることもある。
私は下唇を噛み締めて、うつむいた。
「……ばーか。お前がいないと、意味ねぇよ」
「えっ?」
降ってきた声に、私は顔をあげた。
緒方くんの真剣な表情が視界に映る。


