緒方くんは、ふっと笑ってまた顔を近づけてきた。
「雅のことは、〝好きだった〟っていう、過去形。
今、本気で好きなのはお前だから」
そう言って、チュッと触れるだけのキスをする。
「……!!!」
「好きだよ、キミ子」
…ずるい。
そこで私の、ホントの名前を呼ぶなんて。
さっきのモヤモヤなんて、どうでもよくなっちゃうくらい、私の心臓はドキドキしてる。
「つーか、俺も我慢できねぇくらい、嫉妬してた」
「えっ?」
「お前が、吉田とか翼とかと話してんの見ただけで、結構……いや、めっちゃムカついたから」
……っ!!
何それ……。
「そんなことを言ったら、私もだよ!」
私は緒方君に向かって、ムキになってた。


