緒方くんもこちらを見てきて、〝あっ〟とひとこと言うと、
「…雅」
そこにいた人……雅先輩の名前を呼んだ。
雅先輩は、私たちと分かった瞬間気まずそうな顔をしたけど、すぐにふっと笑った。
「陸、補習?相変わらず、バカね」
「えっ。ばか?」
緒方くんは、先輩のこんな態度を初めて見たかのように目を見開いている。
「つーか、リア充してんのね。あー夏なのに熱いっつーの!」
ぶっきらぼうにそう言い放った先輩は、また植物に水やりをし始めた。
「…えーっと、お前はなにしてんの?」
雅先輩の態度に戸惑いながらも、緒方君はそう聞いた。
「何って。水やりよ、水やり」
いや、それは見てたら分かるんだけど…。
「なんで水やり?」
私が思っていたことを、緒方くんは聞いてくれた。
緒方くんにとっても、なぜ水やりをしてるのかが分からないんだろう。
だって、私と緒方くん、同じ方向に首傾げてるし。


