唇が触れそうなくらいの距離まで顔を近づけられ、思わずギュッと目をつむる。


私の唇に、緒方くんの甘い吐息がかかった。



「ハム子」



名前を呼ばれた次の瞬間、唇に触れる感触。



「………んっ」



キス…されてる。



この静かな教室で、ドキドキと騒ぐ私の心臓の音。


聞こえてたら、恥ずかしいな。



さっきまでズキズキと痛かった頭は、何も考えられないほどにクラクラする。




やっと唇が離れて、緒方くんの顔を見てみると、すごく真っ赤で。


でもそれは、きっと私も。






「やべー、すげぇ幸せ」



恥ずかしかったけど、笑顔でそう言ってくれた緒方くんに、私も嬉しくなって笑ってた。