「陸……さっきのは誤解だよ。あたし、わざとじゃないっ」
必死に訴えるように、俺にそう言う雅。
さっきっていうのは、おそらくハム子に当てたボールのことだろう。
その言葉が真実でも嘘でも、謝ることはできるはず。
「じゃあ、ハム子に謝れよ」
「……なんで?あたし悪くないよ…。
勝ちたくて、必死になっちゃっただけだし」
なんだそれ。
「でも、ハム子傷つけただろ」
そう言うと、雅はグッと唇を噛み締めた。
周りにいた奴らは消えて、俺と雅のふたりが、窓を隔てて、この高さから話している。
俺はそのまま、言葉を続けた。
「つーか、1番イライラすんのは俺自身。ハム子が傷つく前に守ってやれなかった」
「……なんで、キミ子ちゃんなの?」
「えっ?」
涙ぐむ雅は、バッと顔を上げ、唇を震わせた。
「あたし、陸が好きって言ったら……どうする?」


