さっきの球技大会……。
俺はバスケの試合が終わったあと、ハム子を見ていた。
逃げ回って、内野に残ってるこいつは何気につえー。
でも、ハム子ばかりが狙われてる気がした。
外野に出た雅が、近くにいたハム子に向かってボールを振り上げた。
俺は、そのとき驚きを隠せなかった。
わざと、叩きつけるように投げたように見えたから。
そんで、体育館の床にうつ伏せに倒れたハム子を見た瞬間。
周りの音なんて聞こえなくなるくらいに、心臓がドクンっとイヤな音をたてた。
気づいたときには、足が勝手に動いていて、ハム子の方へ走り出していた。
幸いにも、ハム子に意識はあった。
俺の顔を見て名前を呼んでくれたことにホッとする反面、落ち着いた俺は雅を許せなかった。
ハム子を傷つける奴は、許さない。
いつの間にか、俺にとってハム子は、誰よりも大切な存在になってた。