緒方くん、雅先輩の言葉を信じるのかな……?
「まぁどっちにしても、ハム子傷つけたことに変わりねーし……」
そんな緒方くんの声で、私はおそるおそる閉じていた目を開けた。
緒方くんは、優しい笑みで私を見つめていて。
お互いの顔が予想以上に近くて、ドキッとした。
そして、緒方くんはもう一度前にいる先輩に向かって言った。
「雅。いくらお前でも、ハム子傷つけるんなら許さねぇから」
「……陸」
「悪いけど、ちょっと通して」
そして緒方くんは、私をお姫様抱っこしたまま歩き始めた。
「おい、緒方。どーすんだよバスケ!」
途中、同じクラスの人にとめられるが…。
「うるせー。バスケなんかよりハム子のが大事だろ!
おい、田中!お前俺と変われ!」
緒方くんは、ベンチでくもってるメガネを拭いている田中くんに、キツイ声でそう言った。
あわわっ。
田中くん、びっくりしてメガネ落としちゃったよ…!


