「ちょっと我慢しろよ」
何を?って思った時には、体がふわっと宙に浮いていて。
私はびっくりして、意識がハッとしてしまった。
「えっ!緒方くんっ!?」
な……なんでお姫様抱っこされてるの!?
「保健室行く」
ええぇっ!!!
「緒方くん、大丈夫だよ!自分で行けるから!!
早く戻って?」
「うるさい。ケガ人はおとなしくしてろ」
いや、無理です!!
こんな状態でおとなしくなんてしてられませんからっ!!
「陸…。どうして?」
眉をひそめた雅先輩が、なんで?って顔で、緒方くんを見つめていた。
「雅……。お前、さっきのわざとしただろ?」
「違うよ。勝ちたくて、ちょっと必死になっちゃって……」
ふたりは真剣な表情で言葉をかわしてる。
私は雅先輩が怖くて、ギュッと目をつむった。


