「陸……?」
いきなりこっちのコートに現れた緒方くんに、驚いている雅先輩。
私は、なんとか意識を保って見ていた。
「雅、どけろ」
緒方くんは雅先輩を軽くどかして、倒れてる私のもとにかがみこむ。
そして、そっと私の体を支え起こしてくれた。
「ハム子、大丈夫か?」
また心配してくれてる。
でも、もう心配させたくないな。
「大丈夫だよ…。だから、緒方くんは戻って…」
もうすぐ次のバスケの試合が始まるはず。
緒方くんは活躍してるし、みんなが待ってるよ…。
「嘘つけ。お前は平気じゃないときも大丈夫って言う。
俺にくらい、本音言え」
緒方くんは、ボールが当たった私の頭を優しくなでた。
…そんな風に言うの、ずるいなぁ。


