「んでさ。お前、こいつに傘かしてやったろ?
その傘の取っ手に書いてあった名前と、今日俺が提出してやったプリントに書いてあった名前が同じだったんだよ」
…あっ。
確かに、あの傘は中学の頃からか使っているもので、名前を書いていた。
縦書きに、坂下 公子って。
「坂下 ハム子」
ヤンキー君が、ニコッと笑って私の名前を呼んだ。
八重歯が見えるくらいの無邪気な笑顔は、たとえヤンキーと分かっていてもドキドキする。
だって緒方くんは、かっこいいから。
「あっ…あの!!
でも、私…ハムスター飼ってて…その子のこと、連れて帰れなかったんです。
ごめんなさい…!」
ドキドキする胸をおさえながら、恥ずかしさをまぎらわすために、うつむきながらそう言った。
そしてそのまま、ペコッと頭を下げて謝る。


