みんなに誤解されちゃうのはいやだって思ってたけど……。
女の子が緒方くんのことでキャーって言ってるのは、なんだなモヤッとしちゃう。
私の方が、緒方くんの笑顔とかたくさん見てきたのにな……なんて。
矛盾してるよね。
緒方くんは優しい人だってこと、みんなに分かってもらいたいって思ってたくせに。
他の人たちの視線を一瞬で集めてしまう緒方くんに、私は焦ってしまう。
みんなに取られちゃいそうで、怖い。
「ハム子ー。もうそろそろ、ドッジ始まるよ!!」
「あっ。はーい!」
環ちゃんに呼ばれて、私は緒方くんから視線をはずし、自分のコートへ向かい出した。
その途中、緒方くんは私に気づいたのか、
「ハム子、頑張れよ!」
なんて、ピースサイン付きで笑って言ってくれた。
その笑顔に胸がキュンってしたことは、私だけの秘密。