「やっぱ、お前だったんだな」
私は後ろから聞こえる声にハッとする。
やばっ!!
過去のことを思い出していて、緒方くんに拉致られていたことを忘れてた!!
おそるおそる、振り返る。
「お前があの日、この猫を助けてくれたんだろ?
…ありがとな」
優しく微笑む緒方くんが、私を見つめていたからドキッとした。
ヤンキーな緒方くんでも、こんなに優しく笑うんだ…。
「ど…どうして私だって、分かったんですか?
この猫は、緒方くんの猫なんですか?」
さっきの怖さなんてない緒方くんに、平気でそんなことを聞いてしまう。
「いや。こいつは俺のじゃねーよ。捨て猫だ。
でも、俺がめんどう見てる」
ヤンキー君が猫の世話…。
なんかちょっと可愛い…かも。


