私は猫を置いて、土砂降りの中、家に帰ったんだ。 びしょ濡れになった私は、次の日の入学式で風邪をひいてしまったのである。 そのおかげで、今のような友達のいない状況ってワケなんだけど……。 でも……。 「良かった。猫ちゃん、元気そうで」 そんなこと、どうだって良かった。 ただ、あのときの猫が、こうやって無事でいてくれたことが分かったから。 私は目の前にいる白い猫の頭を撫でる。 「にゃーっ」 私を安心させてくれるかのように、元気に鳴いてくれた。