そして、歩き出してしまう。
「あっ!待って、翼くん!!」
私はスタスタと歩いて歩く後ろ姿の翼くんを呼び止める。
振り向かずに立ち止まった翼くんに、まだ言ってない。
「翼くんのおかげで、勇気でた。ありがとう!頑張ってみるね!!」
笑ってそう言うと、翼くんは驚いた顔をして振り返る。
そして、ふっと笑った。
「やっぱ、あんたはそっちの顔の方がいいな」
そっちの顔……?
「あんま陸を応援する気にはなれねーけど、あんたが笑えるんならいいわ。
頑張れ」
あったかい言葉に、やっぱり翼くんは優しい人だということを確信する。
「……うん!!」
そう強く頷くと、さっきよりも顔を赤くした翼くん。
あれ、熱でもあるのかな…?
大丈夫、かなぁ?