「…今日は曇った顔してんな」
翼くんは私に近づくと、顔を覗き込んできんでそう言った。
……曇った顔?
なんのことか考えてみたけど、全然分からない。
あっ!!
翼くんと言えば…!!
「この前借りたハンカチ、家に置いてきちゃった…」
まさかこのタイミングで会えるとは思ってなかったからなぁ。
失敗。
「ハンカチなんて、別にいつでもいい。つーか、ちょっと間持っててもらっても構わない」
そう言った翼くんは、大きく伸びをして私の隣に腰を下ろした。
「そんな…!借りたものは、ちゃんと返さないと!」
「んなことされたら、あんたとの繋がりがなくなんだろ。
てか、そんなことより…」
翼くんはブツブツ小声で何かを言うと、私の目をジーッと見つめてきた。


