「環は器用に見えて、結構不器用なとこあるからさ。分かってやって」
皐月ちゃんが、私を見つめながら弱々しく笑った。
「…キミ子ちゃんさ。俺らの傍にいちゃだめだって思ってるみたいだけど……。
それって、俺らにとっては結構悲しい」
吉田くんまで、悲しい表情でそんなこと言う。
どうして?
私が見たかったのは、こんな辛そうなみんなの顔じゃないのに…。
私、なにか間違ってた?
「キミ子ちゃんが本当にしたいようにしたらいい。
選ぶのは、キミ子ちゃんだから。
どんな答えでも、俺らは待ってるからね!」
吉田くんは、ぎこちなく笑った。
「気持ちの整理ついたら、また話してね」
皐月ちゃんも、優しく微笑む。
そして、2人も行ってしまった。
昼休みのこの騒ぎがなにごともなかったかのように、時間は動き出した。


