痛々しい音が響く。
「くそっ!てめぇ!!」
今度は男の人が、緒方くんに襲いかかろうとした。
呆然としていた私は、すぐにハッとして緒方くんに近づく。
「…緒方くっ…!!!」
「くるな!!!」
緒方くんの大きな声で、私は立ち止まってしまった。
緒方くんは男の人の拳をするりとかわすと、また殴りかかる。
ザワザワとしていた購買が、いつの間にか静まり返っていた。
一方的に、ずっと殴っている緒方くん。
私は何もできず、ただ立ちすくしていた。
「…誰か!!先生呼んできてっ…!!」
周りにいた誰かが、そう言っていたのが聞こえた。
ふと、周りを見渡すと、みんなが緒方くんを怯えた目で見ている。
違う。
緒方くんは、怖くない。
優しい人なのに……。
また、私のせいで誤解されちゃう…。