…あぁ、もうダメだ。

限界。



涙がポロポロ溢れだす。


助けて…。




「……緒方っ…く……ん…」



小声でそう、ポツリと呟いたとき。





────ドカッ!!



鈍い音とともに、私の掴まれていた手が離れた。





「……っ!?」



びっくりして、目を見開いていると、



「汚ねぇ手で、ハム子に触んじゃねーよ!!」



血相を変えた緒方くんが、私をかばって男の人を殴っていた。



そして、私の方に振り向く。



「…大丈夫か?ハム子!」




来てくれた…。

名前を呼んだら、助けに……来てくれた。



「……うぅっ。……ひっく…」



緒方くんが心配してくれているのに、うまく声が出ない。




「いってぇな!!てめぇ、1年のガキじゃねえか!やるつもりか?」





「当たり前だろ。
こいつ泣かせたお前らを、絶対に許さねぇ!!」




緒方くんは拳を振り上げると、遠慮もなしにその男の人を殴った。