元気付けてるつもりなんだろうけど。
ごめん。
俺と緒方はたぶん、仲良くはできない。
だって、気づいてしまった。
陸はあんたに気があるってこと。
そんで、陸を優しいとか言うあんたに、イラっとしていること。
「俺のことは、翼でいい。あんたとは同級生だし。敬語もやめろ」
……変な女だと思ってた。
「じゃあ…。翼くん」
けど…。
「坂下 キミ子」
たぶん俺も、陸と似た感情を抱いてる。
「はい…?」
キョトンとするキミ子に、思わず笑ってしまう。
「またな」
そして、そう言った。
……そのハンカチを返してもらうときに、また会おうな。
「うん……またね!」
キミ子はニコッと笑って、手を振っていた。
そして、俺たちは別々の雨上がりの道を帰って行った。