「これ貸してやるから、自分の制服汚すな」
俺はたまたま鞄に入っていたハンカチをこいつに貸す。
「えっ!?こんなキレイなハンカチ、私みたいな奴の顔面なんかに!?
ダメです!申し訳ないです!!」
どんだけネガティブなんだよ!
「いいから!早く使え!」
「うぶっ!!」
俺は無理やり押し付けた。
「わっ……!いい匂い!」
良かった。また笑った。
なんでか、嬉しい気分になる。
つーか、人のハンカチ嗅ぐなよ。犬か。
いや、こいつは犬っつーより、ハムスターだわ。
やっぱ、笑ってる顔の方がいい。
単純なことで笑顔になるこいつに、俺まで笑えてくる。