「いいから。さっさと来い」
腕をグイッと引っ張られ、私は椅子から立ち上がった。
「あっ!ちょっ……!!待ってくださっ!!」
拉致られたー!!!
私の言葉なんてお構いなしに、ぐんぐんとどこかに向かう緒方くん。
玄関を出て、靴もしっかり履けないまま、
もう既に私はこの世の終わりのように、人生の最期を感じていた。
そして目の前の緒方くんは、急にピタッと止まった。
「ハム子」
そう呼んで、私の方へ振り返る。
私の人生の終わりの場所は、ここなのかな。
でも、なにもない…ただの校舎裏ですよね?
あっ。
ひと気がない方がいいってことか。


