「陸と雅の関係がなくなればって思ってたけど…。
俺に限界がきたわ。
情けないけど、もう雅とは別れたかった」
ふっと自嘲気味に笑う。
きっと、こんな情けない俺の過去に、こいつも呆れただろうと思い、キミ子のいる方を見た。
「はっ!?」
すると、号泣してるキミ子が俺を見つめていた。
「……うぇっ。…ごめんなさっ…」
ポロポロと涙を流してるこいつ。
「……なんでお前が泣いてんだよ?」
つーか、鼻水たれてるって。
「海堂くんと緒方くんに、そんな過去があったなんて……。知らなくて……。
海堂くんは……誰にも分かってもらえなくて悲しかったよね…」
なんだよ。
そんな風に思ってたのかよ。
今さら、どうってことない。
そんなことよりも、さっきまで笑ってたのにまた雨みたいな顔に戻ってることの方が、気に食わない。
俺が変な話をしたからだよな。
ごめん。
頼むから、お前は笑ってて。
キミ子は自分の制服の袖で、顔拭こうとした。
俺は急いでその手を掴んで止める。
「待った。それで拭くな」
俺の制服さえ、クリーニング行きにしやがったクセに、
お前は自分の制服も生け贄にするつもりかよ。


