『雅、俺と付き合おう』
雅にそう言っていた。
好きなんて感情は、さらさらない。
ただ、陸を助けたかった。
もちろん、何も知らない陸には恨まれたけど。
『ふざけんなよ、翼。俺はテメェを許さねぇ!』
なんでも良かった。
お前が助かるなら、嫌われたって…。
ケンカになったって…。
陸が俺に殴りかかってくる。
閉じていた目を開けた。
ケンカなら、誰よりも勝てる自信はある。
目を覚ませ、陸。
そんな願いを込めて、俺は陸の拳をかわし、陸に殴りかかった。
…………。
テツタ達が止めに来るまで、俺は陸を殴っていた。
ごめんな。
そう思いながら。
何度も何度も、ダチだったはずの陸を殴っていた。
それから……。
陸とは話さなくなった。
俺はあいつらから、距離を取るようになった。
雅と過ごすことが多くなって…。
つまんねぇ毎日の中、いつの間にか卒業していた。
雅とは違う高校を受験した俺は、陸たちとは別の高校になった。
──────────……。


