「あんたはいつもそんな顔してる。
コンビニで猫缶を大量に買ってたときも、俺に傘押し付けてきた日も……。
さっきだって、陸見て泣きそうな顔してただろ?」
……私、知らない間にそんな顔してたの?
ていうか!!
「コンビニで猫缶いっぱい買ったの、見てたんですか!?」
涙でグショグショの顔なのに、思わず顔を上げて聞いてしまった。
「変な奴がいるなって思いながら、見てたけど」
ふっと笑いながら、そう言うこの人。
は……恥ずかしい。
「あの…あんまり顔、見ないでください」
あとから来る羞恥心に、私はうつむいた。
「はいはい。見ねぇから、我慢すんな。さっさと泣け」
そう言ってまた、私の顔を胸に引き寄せる。
この人の胸の中。
泣いてもいいと許されたから、安心してその胸に顔うずめて、大泣きしてしまった。
弱虫で、泣き虫な私。
うまくいかないこの複雑な想いも、全部、
雨と一緒に流れてしまえばいいのに……。


